株式会社クロスリバー代表取締役 越川慎司さんに聞く働き方改革。

Nanase Tsukuya/佃屋 七星

2023年3月のLFB RADIOのゲストにお越しいただいた、越川慎司さん。国内企業を経て2005年にマイクロソフト社へ入社され、執行役員などを経験。2017年にクロスリバーを設立し、全メンバーが週休3日、復業、リモートワークを実践しながら全国800社の働き方改革を支援しています。ラジオにご出演いただいた後、インタビューにお付き合いいただき、越川さんの活動についてお聞きしました。

現在の活動

左から広報岡野さん、越川慎司さん、枡田絵理奈さん、田村社長

――――越川さんの現在の活動について教えてください。

越川慎司さん:

「約6年前に「働き方改革」という言葉が流行りましたが、苦しむ企業の方々が全国に800社いらっしゃるんですけれども、その方々を支援させていただいて、延べ17万人の方達の行動を変えて、短い時間で成果を出すというコンサルティングを行っています。我々も新しい働き方を実践していかなければいけませんので、7年前から完全リモートワーク、全員週休3日、そして復業をしないと入れないという会社を経営させていただいております。」

――――復業をしていないと入れない会社というのは、具体的にどういうことでしょうか?

越川慎司さん:

「理由は2つあります。1つ目に人を雇う上で、優秀な人をなかなか採用しにくいので、“どこかの会社に所属して、うちの会社でも働いてもらうと安い賃金で優秀な人を雇える”という採用の理由です。2つ目はですね、様々な知見を組み合わせて科学反応を起こして、課題解決していこうということで、20代の若手やお医者さん、お坊さんであったり中には経営者さんもいらっしゃいます。その方々と組み合わせて新たなリノベーションを作っていこうというチャレンジしています。」

――――このコロナ禍が緩和されてきている中で顔を合わせるというメリットは一切排除されているのでしょうか?

越川慎司さん:

「対面はしています。寧ろ徐々に普通の生活に戻りつつある中で、対面が非常に重要なことが分かってきました。感情を共有したり、会議ではなくて会話や雑談の方がイノベーションを生むということが分かってきたんです。ただ、対面することが目的であってはいけない、あくまでも手段だと思うので、対面した時に何をするかを考えていれば、リモートでもできます。各地に分散しているので3ヶ月に1回メンバーと対面でやりとりをして腹を割って話せる関係性を作ってから作業をするというようにしています。 実は、ビジネスパーソン17万人にアンケートを実施したところ、『会社に行くこと=仕事ではない』という当たり前のことに気づいた方が、約78%いらっしゃったんですね。会社に行って価値を生み出すことが仕事で、手段として出社したりリモートワークであったりということを考えると、『自分はどういった能力を磨いて、どのような価値を発揮すればいいんだ』ということに気づいて行動を変えることができたことはいい点です。ただ、経営陣の約87%はリモートワーク反対です。目の前に部下がいた方が良いですし、在宅勤務だとサボるのではないかと思っている経営陣が多いのは確かです。これも調べると在宅勤務でサボる方は約14%いました。ゲームを7時間半やっている方やプラレールの上にマウスを乗せてずっとオンラインの方とかいるんです。ただ衝撃的だったのは在宅勤務でサボっている方の約94%が出社してもサボっているんです。つまり家でサボる方は出社してもゲームをしているんです。これで気づいたのはサボる、サボらないは場所ではなくて職責と評価の問題であるということ。じゃあ評価するためにはどうビジネスを変えるべきか見つめ直す良い機会になったと思います。」

――――働き方改革をする上で一番の壁だと感じるのはどんなところですか?また、働き方改革が、ある程度軌道に乗ってきた企業というのは大きな変化はありますか?

越川慎司さん:

「1番は圧倒的に労働不足です。人を集めれば売り上げが上がるという労働集約モデルで日本経済はかなり発展した中で少子高齢化がものすごく進んでいますが、そんな中で人は増やせないけど売上は上げていかないといけないという資本主義の原理原則の中で、短い時間少ない人でどうなって成果を残すかということをチャレンジしたことがなかったので、人がなかなか雇えない前提で、ビジネスをどう成長させるかということが今一番のチャレンジだと思っています。

軌道に乗ってきた企業様としては、我々は『働き方を変える支援』というより、『稼ぎ方を変える支援』をさせていただいておりますので、短い時間で売上利益率があがると、実はその利益率の何%をいただくというモデルですから働き方を変えた後に会社が成長するか、社員が成長するかのここに尽きると思いますのでここの両方が伸びている会社が間違いなくうまく行っている会社だと言えます。全体で大体25%くらいです。」

起業に至った経緯

――――前職はマイクロソフトで働かれていたそうですが、どんなことをされていましたか?

越川慎司さん:

「いわゆるグローバル企業でした。入社がアメリカのシアトルでしたので、ビルゲイツと仕事をしていたこともあるんですけれども、ただマイクロソフト社で働きすぎてしまって心と体を壊してしまった経験があります。その際に、何とか短い時間で成果を残そうというような働き方にシフトチェンジしていきまして、ワードやエクセルの責任者をやっていたのですが、辞めて気づいたのはITは手段であって、働き方を変えるのは人間である、人間が働き方を変える時にITが必要ですという考え方がしっくり来て、会社を立ち上げることにしました。実は野望がありまして、全世界の会社を週休3日に実現しようと考えています。短い時間で成果が今と同じであれば、従業員にとっては給料20%上がりますし、経営者にとっても株主に説明ができるので時間を作ることができれば育児や介護をされている方でも労働参加できますので、会社と社員と社会がハッピーになる週休3日というのを何とか実現したいなと思いまして、マイクロソフト社を卒業して起業しました。」

――――週休3日になっても成果としては今まで以上のものを求めるということでしょうか?

越川慎司さん:

「目的を明確にするという意味では短い時間で成果を残すということですから、正直に申し上げるとですね、週休2日より3日の方が大変です。本当に分刻みでスケジュールが埋まっていきますし、仕事も辞めないといけないことを決めないといけないので経営者としては非常に厳しい判断です。短い時間で成果を残す方式を何とか探したいと、探し出したいと思っておりますのでクライアント企業800社と一緒に行動実験しながら正攻法を見つけ出しているというような形です。」

5%社員に共通する習慣とは

――――重版19回、15万部を超えるベストセラーになった「トップ5%社員の習慣」ですが、どんな内容の本か教えてください。

越川慎司さん:

「クライアント企業の皆様にご協力をいただきまして、各社の人事評価トップ5%の人のリストをこっそり貰っています。その方々の行動と、そうでない方々の行動をそれぞれ例えばGPSをつけたり、ICレコーダーで記録をしたりして、どんな違いがあるかというのが一つ目の目的です。そして5%社員に共通する習慣を、残りの95%の社員の方に試してもらって再現するかというのが重要な行動実験でして、再現できたものを書籍に収めさせていただいております。」

――――トップ5%社員の五原則について、具体的に教えてください。

越川慎司さん:

「書籍に書かせていただいた五原則はですね、先に全てお伝えすると、1つ目に『目的のことだけを考える』、2つ目が『弱みを見せる』、3つ目が『挑戦を実験だと捉える』、4つ目が『意識改革はしない』、5つ目は『常にギャップから考える』の5つです。5人の工務店から8万人のメーカーまで、成果を出し続ける人にはこの行動習慣が共通しているんです。

 昔のように成果の出し方が画一的ではなくなってきており、自分で探さないといけない、言われたことだけやるのではなくて、自分で考えて動くというのが基本です。1人で成果が残しずらくなってきていますので、これだけ複雑な変化の中で5%社員はチーム戦を挑むんです。そのために周りを巻き込んだり、失敗の先に成功があるので失敗と呼ばずに学びと呼べ、挑戦じゃなくて実験、成功を目指してしまうから一歩目が遅れてしまうので挑戦でなく実験と捉えるということ。意識は10年、20年経っても変わらないものだと彼らも分かっていますので、先に行動を変えたら意識が変わると、やってみたら意外と良かったという言葉が出た時が1番意識改革だと言っていました。これを成果を出し続けるという目的に向けて、自分が何をすべきか、今どういう状態でどんなギャップがあるかというのを逆算しながら行動している人たちですね。」

――――越川さんご自身はこの統計をとった段階でご自身に当てはまることや、読んでから変えたことはありますか?

越川慎司さん:

「私は5%社員じゃないなという反省をしたところと、我々も行動実験をする会社ですので、実験によって得た結果をとても参考にさせていただいております。例えば、お客様の前ではゆっくり歩くことであったり、頷きを6センチ深く頷くとかですね、実際やってみて意外と良ければ続けるという意味ではすごく影響を受けています。」

――――今回ラジオに出演されていかがでしたでしょうか。

越川慎司さん:

「一人でペラペラ喋ってしまったんですけれども、出演者の皆さんがものすごくうなずきが深かったので、それに乗って喋ってしまいましたね。トップ5%社員のように皆さん深くうなずいていただいたので共感・共想ができたと思います。」

Epilogue


いかがでしたでしょうか。全国800社の働き方改革を支援されており、その研究結果を取り入れて越川さんご自身も意識改善されているという貴重なお話を伺うことができました。重版19回・15万部を超えるベストセラーになった「トップ5%社員の習慣」、皆様もぜひ熟読し、実践してみてください。

作者プロフィール

株式会社田村ビルズ 

佃屋 七星 Nanase Tsukuya

1999年生まれ下関市出身。田村ビルズへの入社を機に山口市へ。

大学では韓国語を専攻、不動産知識ゼロですが日々元気に邁進しております。

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