脚本家・放送作家のアサダアツシさんに聞く。vol.1

Riko Shigefuji/重藤 理子


2022年12月のLFB RADIOのゲストにお越しいただいた、脚本家で放送作家のアサダアツシさん。放送後30年経った今でも熱狂的なファンを持つフジテレビの子供番組『ウゴウゴルーガ』で放送作家デビューし、以後数々の番組を担当されていらっしゃいます。そして、アサダさん脚本の新作映画『そばかす』が2022年12月16日に公開されたばかりなんです。ラジオにご出演いただいた後、インタビューにお付き合いいただき、アサダさんの活動についてお聞きしました。


――――アサダさんが放送業界を目指したのはどんなきっかけがあったのでしょうか。


アサダアツシさん:
「大学卒業後は、フリーターをしていたのですが、特に就職活動をするわけでもなく、近くの図書館によく行っていたんです。図書館にいくと、就活本のコーナーみたいなところに、『放送作家になるには』という本があって。ちょうどその頃、『タモリ俱楽部』を観ていて、放送作家という職業の存在は知っていたので、興味本位で借りて読んでみたんです。


『○○になるためには』という本だと、その職業へのなり方だったり、どういう資格が必要になのかだったりが書かれていると思っていたんですが、その本は違っていましたね。200ページ中195ページくらいは、放送作家の人の生活が紹介されてあるだけでした。


クイズ番組の放送作家は、クイズの問題を探しにヨーロッパ旅行にいくとか、バラエティー番組をやられている放送作家は、いつも昼に起きて、朝食と昼食を兼ねたご飯を食べながら、優雅な生活をして、夜は必ず打ち合わせで、銀座の高級クラブに行くとか。195ページ全て、いい事しか書いていなかったです(笑)こんな職業があるんだと思ったら、読んでいるうちに自然と、この職業がやってみたい!と思うようになりましたね」



――――そこからどのようにして放送作家になられたのでしょうか。


アサダアツシさん:
「私は本を読んでから、明日にでもなりたいという気持ちだったので、稀ではあるんですが、自分で企画を考えて、テレビ局に売り込む方法をとりました。ただ、素人が書いた企画書を見てくれるテレビ局なんて中々いないんですよね。


そうした時に活きた経験が小学生の時にしていたことで。少年ジャンプの漫画家にファンレターを出していた時があったんですけど、子どもながらに、週一で連載を書いている人がそんな返事なんかくれるわけない、と思っていたんです。私はとりあえず、誰のでもサインと返事がもらいたかったので、新人読み切りのマンガをチョイスして、返事をもらっていました(笑)その時の経験があって、テレビの企画を書いた時も、ヒット番組の担当者はみんな忙しいので、深夜12時以降の番組を担当している人で、ちょっと尖った番組をやっている人宛に企画を送ったんですよ。一か月間、毎週送り続けて、毎週決まった曜日にアサダアツシという知らない人から、企画書が届くみたいな状況をつくりましたね。


そういうことを続けていると、番組担当者に会ってもらえるようになったんですが、なかなか企画が通ることはなかったんです。それから半年くらい経って、最後にダメ元で送ったフジテレビの担当者の方に、企画書をダメ出しされながらも、最後の最後にディレクターを紹介してもらったんです。それが後に『ウゴウゴルーガ』の総合演出をやられる方で、放送作家デビューに至りました。粘りは大切だと学びましたね」


――――いざ放送作家になられて、どのように感じられましたか?


アサダアツシさん:
「放送作家に限らず、脚本を書いている時もそうなんですが、今現在どういうことで世の中が動いているかを知っておかないといけないと感じています。例え自分が好きじゃないものだとしても、それを自分の中に取り入れておかないと、大勢の人を相手にするときに自分の趣味だけに偏ってしまうのは危険だな、と思うんです。仮に自分がやりたいことをやるにしても、世の中がこんな風に流れているんだということだけは知っておこうと思っています。アップデート、毎週のように更新していかないといけないな、と思いますね」



―――――脚本家としても活動されていますが、そちらも何かきっかけがあったんでしょうか。


アサダアツシさん:
「そうですね。作家であるので書くことが求められるものをもっとやっていきたいと思っていたんです。脚本のほうが“書く”ということが求められるので、脚本の仕事をしていこうと思いましたね。

最初にやったドラマは『世にも奇妙な物語』で、制作会社とは知り合いではなかったんですが、オールナイトニッポンの仕事をやっていた時にアシスタントについてくれた方が紹介してくれて。紹介してくれるまでに、色々奇妙なお話があったんですが、詳しくはラジオで(笑)」



Epilogue


いかがでしたでしょうか。今回は、放送作家や脚本家になるまでの歩みをお話いただきました。次回は絶賛公開中の映画『そばかす』について、制作秘話や見どころをお聞きします。お楽しみに。

アサダアツシさん

映画『そばかす』オフィシャルサイト



作者プロフィール

田村ビルズグループ 広報
重藤 理子 Riko Shigefuji
山口県宇部市生まれ。生まれも育ちも山口県で、音楽と地元への愛が強いです。地元の音楽フェスには学生の時から毎年参戦。2019年に新卒で田村ビルズに入社し、現在は広報として地元+九州へ田村ビルズグループ内の出来事を日々発信中。

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